綴ったもの。

Cuore
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「──ねぇ、ドイツ…」


小さく、孤立した言葉が闇に消える。


もう既に閉じられた瞳。

返事も無くそっと彼の頬に触れてみる。


普段の様子からは想像も付かない程
柔らかく、安らかな表情。
下ろされた髪のせいで、
一段と穏やかさを増したその顔で、
小さく寝息をたてている。

クスと、思わず笑みが零れる。

静かに手を引いた。


「………っ」


離れ、失った温かさの代わりに、
また再び冷たい感情が自分を襲う。


「────ドイツ…」


もう一度彼の名を呼ぶ。

人形にでも話し掛けているような自分が、
ひどく滑稽に思った。
決して返されることは無い、言の葉。

強く、シーツを握る。


「…ねぇ、ドイツは。」


独り言…そう、これはただの独り言。


普段生活している間は
こんな思考、頭を掠りもしないのに。
夜、闇に包まれ静かになると、まるで
自分の心まで闇色に染め上げられ、
心や感情まで冷たくなって
ざわめく自分の心に、気付いてしまうんだ。


そう…

決して本人に聞くことはできない、
俺の、心の中の声。
聞いてはいけないのだろう、禁断の問。


「…ドイツ、は」
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