1/3ページ目 音は、色をなくしていた。 ――静寂。 私の呼吸だけが、目の前の世界を象(かたど)る。 それだけが現実で、内なる何かがしきりに悲鳴をあげる感覚や、震える指先が触れるものとかその意味などは…よくわからない。 やけに暗くて、息苦しい。 現実なのか、幻覚なのか、この空間はとても不確実だ。どちらかを証明できるものもない。 私はいつからここにいて、何をするためにいるんだろうか。 何をしたんだろうか…。 …これが現実であってほしいのか、幻覚であってほしいのか…。 私は今…何を思う? 私の意志…私の望み…。 …思考までやけに暗くて、何も見えない。 ――鼓動。 今、私の意識をつなぎ止めている『彼』から、とても弱々しい音を感じた。 意識だけじゃない。私の身体を放すまいと、しっかり抱きすくめている。 私もまた、『彼』を抱き留めている。 鼓動…鼓動が…。 だが、この空間は変わらず静かだ。 『彼』は何も言わない。私も、話しかける言葉が見当たらない。 黙って抱き合ったまま、存在の不確かな時間は音もなく過ぎる。 鼓動が……鼓動が……。 …何故だ? 私の呼吸と、『彼』の鼓動…。 何故…この空間は、風に揺らぐ灯のように不確実さを増していくんだ…? 確かに…私と『彼』は…今…。 ……鼓動が………鼓動が…………………………鼓動が……。 …………嘘…。 『彼』…が…。 何故…何の為に、こんな…。 ……私、が…? この結果を…もたらした…。 何故………何故…何故…!? ――何故? …その先にあるものが、私の……望みか? 私は…この結末を望んでいないのか? 私が望む結末は、なんだ? …疑問を投げ掛けられる相手は…この『世界』に、一人だけ。 まるで生気のない『世界』で、まるで生気を失ったかのように私にもたれ掛かる…『彼』。 その『彼』が…少しずつ…。 私にのしかかった重みが…少しずつ…。 少しずつ…少しずつ…。 …………鼓動が……………鼓動が……………………………………………………………鼓動が……………………………………………………………………………………………鼓動が………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………鼓動が……………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………鼓 [指定ページを開く] <<重要なお知らせ>>@peps!・Chip!!をご利用頂き、ありがとうございます。
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