2/4ページ目 …唐突すぎるが、弟が出来た。しかも二人。 実の兄弟じゃない。親の連れ子でもない。ましてや俺に婚約者がいて、義理の弟になったわけでもない。 そんな自然な流れで同居することになっていたら、どんなに気楽だったことか。ていうか婚約者だけくれ。 そんな本音はさておき、要するに複雑な事情があって、この幼児二人に苦労を強いられる日々を過ごしているわけだ。 色々ありすぎて経緯を説明するのが面倒だから省く。ただ、この二人を引き取るまでの俺と二人には、全く接点がなかったということだけ強調しておきたい。 一人暮らしを始めたばかりだった大学生が、いきなり二人の弟の面倒をみることになった…それがどれほど過酷なことであるかをわかっていただきたい…。 …俺の両脇にしがみつく二つの頭を撫でながら、疲れきった体をソファの背もたれに押し付けた。 「…な?だからもう喧嘩すんな」 遼まで泣きだし、星夏同様に俺にしがみついてきたのだが、今度は俺の取り合いに発展した。 これでは収拾がつかないと判断した俺は何とか二人を落ち着かせ、キッチンに行ってパックのジュースを持ってきて二人に与えた。二人はぐずりながらも受け取り、やっとこうして大人しくソファに座ってくれたわけである。 「…はるちゃんごめんね」 星夏が俺の服を掴んだまま、反対にいる遼に謝る。 あれ…なんだろう。今ぐっときた。 「うん、もうおこってないよ。だってせい、ぼくよりおにいさんだもん」 う〜ん。これもぐっとくる。 「そうだそうだ。二人とも大人になればもっとでかくなるんだからな。はるもせいを追い越しちゃうかもしれないぞ」 「はるちゃんはせいくんより大きくなるよ。だってせいくんよりつよいもん」 「そうなのか?」 「うん。ぼくはせいより力もち」 どうもこの兄弟は少し風変わりなようで、兄と弟の力関係も普通とは微妙に異なっている。 俺と出会う以前の家庭事情については全く知らないが、おそらく同じ両親から生まれたと思う。憶測でしかないが。 「ぼく、せいのにばいくらい大きくなるよ」 「それはすごいな」 「そんなに大きくなったらお兄ちゃんも追い越しちゃうね」 「兄ちゃんはじいちゃんになるから今よりちっちゃくなるの」 「俺もうじいちゃんかよ!」 二人揃って「キャハハハ!」と笑い出す。俺を挟みながら顔を合わせて笑い合う姿は、何ともほほえましい。 …うん。やっぱり、笑った顔はそっくりだ。 [指定ページを開く] <<重要なお知らせ>>@peps!・Chip!!をご利用頂き、ありがとうございます。
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