外伝集

つかの間の平和
1/10ページ目

【よいこの人間観察:篠樹編】



◆せいかのばあい


「やあ星夏君。こんにちは」

「…こんにちわ」

「うん。挨拶がちゃんと出来るのはとても立派だ。本棚の陰から出て来てくれたら、もっと上出来かな」

「……」


 …このおじさん(…おじさん?ちがうかも)…ちょっとこわい。

 ずっとにこにこしてるけど、たまにこわくなる。おこってるとかじゃなくて、こわい、っておもうかお。

 よくわかんないけど…こわい。


「…ん?」

「…!」


 びっくりした…。

 立ってほんをよんでたおじさんといきなり目があって、びくってなった。

 そんなにこわくないはずなんだけど、どうしてだろ…。


「はは、そんなにおじさんのことが怖いのかな?」

「えっ!」


 なんでわかったの!?


「あれ、本当に怖がってたのか。大丈夫大丈夫。私は悪い人なんかじゃないよ」

「…うん…」

「いや、もし悪人だとしてもそう答えてしまうか。かといって他に適当な答えが咄嗟に思い浮かばないんだよね…」


 …わるい人っておもったわけじゃないんだけどな。

 …そうだね。わるい人じゃないんだから、こわい人じゃないよ。

 でてきて、ってゆってたから、おじさんのゆーこときこう。


「…お、やっと来てくれたね」

「うん。…ほんとーは、おじさんのこと、そんなにこわくないですよ」

「それはよかったです。お兄ちゃんがお迎えに来るまで、絵本でも読んでるかい?」

「うんっ」

「待っててねー、どこかに何冊かあったはずだから…」


 おじさん、べつのほんだなのほうにいって、えほんをさがしてるみたい。

 今きづいたけど、おじさんってお兄ちゃんよりもおっきいんだ。せいくんがお兄ちゃんにかたぐるましてもらったら、やっとおじさんくらいかも。

 だからかな?こわくみえたの。


「…………」


 …ん?

 おじさん、小さいこえでなにかしゃべってる…?


「…やれやれ…だから子供は苦手なんだ…」


 …小さくてきこえなかった。

 なんていったのかな。


「…おじさ」

「あったあった。この本でいいかな、星夏君」


 ふりむいて、せいくんにほんをわたしたおじさんは、すごくやさしそうににこにこしてた。


「…ありがとう」


 やっぱり…なんかこわかった。
[指定ページを開く]

次n→ 

<<重要なお知らせ>>

@peps!・Chip!!をご利用頂き、ありがとうございます。
@peps!・Chip!!は、2024年5月末をもってサービスを終了させていただきます。
詳しくは
@peps!サービス終了のお知らせ
Chip!!サービス終了のお知らせ
をご確認ください。




w友達に教えるw
[ホムペ作成][新着記事]
[編集]

無料ホームページ作成は@peps!
無料ホムペ素材も超充実ァ