外伝集

つかの間の平和
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【よいこの人間観察:篠樹編】



◆はるかのばあい


「やあ遼君。こんにちは」

「こんにちわっ」

「君はとても元気だね。お兄ちゃんがお迎えに来るまで、お利口にしていられるかな?」

「うんっ」

「よろしい」


 …なんだ、ふつーのおじさんじゃん。

 せいがこわいっていうくらいだから、すっごいヘンタイとかなのかなって、おもってた。

 いや、しろいながいふくきてるから、あくのそしきのかがくしゃかもしれない。


「ねぇおじさん」

「なにかな」

「おじさんってなにもの?」

「ふふっ、何者か。面白い尋ね方を知ってるんだね君は」


 …なにものってきかれてわらうのって、やっぱりあやしい。

『はっはっは!みやぶられたならしかたない!』ってしょうたいをあらわすわるものみたいだもん。


「私はただの、学校の先生だよ。君のお兄さんに勉強を教えているんだ」

「せんせー?兄ちゃん、おじさんのことせんせーってよんでないのに」


 たしかいつも、きょーじゅってよんでた。


「そうだね。確かに、他の先生は『先生』と呼ばれている。だけど私は『教授』と呼ばれる方がなんとなく好きでね。あだ名のような感覚で呼んでもらっているんだ」

「…ふ〜ん」


 よくわかんないけど、兄ちゃんがぼくのこと『はるか』じゃなくて『はる』ってよんでるのと、おなじことかな。


「君は私を何者だと思ったんだい?是非聞かせてくれないかな」

「んとね、あくのそしきのかがくしゃ」

「はっはっは、悪の組織か。まあ科学者なのは、あながち間違ってないけどね」

「あくのそしきじゃないの?」

「どうだろうねえ…?」


 するとおじさんは、よんでたほんをつくえにおいて、ぼくのまえにしゃがんだ。

 かおがちかくなっても、こわい人ってぜんぜんおもわなかった。にこにこしてるし。


「君が私を悪者と思うかどうかは、君が考えて決めるといい」

「ぼくが?」

「そう。私がどんな研究をしているか教えるから、それが悪いことだと思ったら、私を悪者と思えばいい」

「う〜ん…わかった」

「よろしい…」


 と、きゅうにおじさんのこえがかわって、かたがびくってした。

 にこにこしたままなのに…なんとなくこわくなってきた…。


「……私はある人の命令により、人には言えない危ない薬を作っている」

「あ…あぶない、くすり…?」

「そうだ。人間の記憶を消したり、人間の考えることを操ることが出来る薬をね」

「そ、それって、わるいこと…だよ、ね?」

「さあねえ…私はもうわからなくなってしまった…」


 わらいごえをあげながら、しろいふくのしたの、あおいシャツのポケットに手をいれるおじさん。

 ま、まさか…まさか…!


「君も…試してみるかい…?」

「きやあああああああっ!!!」


 おじさんの手がポケットからでてくるまえに、いそいでほんだなのかげにかくれた。


「あはは、本気で信じてしまったようだね。今のは全部嘘だから、出ておいで?」

「いっ、いやだっ!おまえやっぱわるものだっ!」

「そうか、どうも私は子供を怖がらせる才能があるようだ、うん」


 …せいのいうとーりだったっ!
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